= Vimで選択した行の順番を入れ替える :tags: vim :description: Vim で選択した行の順番を入れ替える方法。 :revision-1: 2021-10-02 Qiita から移植 この記事は Qiita から移植してきたものです。 元 URL: https://qiita.com/nsfisis/items/4fefb361d9a693803520 ''''' == バージョン情報 `:version` の一部 ____ VIM - Vi IMproved 8.2 (2019 Dec 12, compiled Jan 26 2020 11:30:30) macOS version Included patches: 1-148 Huge version without GUI. ____ == よく紹介されている手法 === `tac` / `tail` `tac` や `tail -r` などの外部コマンドを `!` を使って呼び出し、置き換える。 ____ :h v_! ____ `tac` コマンドや `tail` の `-r` オプションは環境によって利用できないことがあり、複数の環境を行き来する場合に採用しづらい === `:g/^/m0` こちらは外部コマンドに頼らず、Vim の機能のみを使う。`g` は `:global` コマンドの、`m` は `:move` コマンドの略 `:global` コマンドは `:[range]global/{pattern}/[command]` のように使い、`[range]` で指定された範囲の行のうち、`{pattern}` で指定された検索パターンにマッチする行に対して、順番に `[command]` で指定された Ex コマンドを呼び出す。 ____ :h :global ____ `:move` コマンドは `[range]:move {address}` のように使い、`[range]` で指定された範囲の行を `{address}` で指定された位置に移動させる。 ____ :h :move ____ `:g/^/m0` のように組み合わせると、「すべての行を1行ずつ 0行目(1行目の上)に動かす」という動きをする。これは確かに行の入れ替えになっている。 なお、`:g/^/m0` は全ての行を入れ替えるが、`:N,Mg/^/mN-1` とすることで N行目から M行目を処理範囲とするよう拡張できる。手でこれを入力するわけにはいかないので、次のようなコマンドを用意する。 [source,vim] ---- command! -bar -range=% \ Reverse \ ,g/^/m-1 ---- これは望みの動作をするが、実際に実行してみると全行がハイライトされてしまう。次節で詳細を述べる。 == `:g/^/m0` の問題点 `:global` コマンドは各行に対してマッチングを行う際、現在の検索パターンを上書きしてしまう。`^` は行の先頭にマッチするため、結果として全ての行がハイライトされてしまう。`'hlsearch'` オプションを無効にしている場合その限りではないが、その場合でも直前の検索パターンが失われてしまうと `n` コマンドなどの際に不便である。 ____ :h @/ ____ == 解決策 ____ [2020/9/28追記] より簡潔な方法を見つけたので次節に追記した ____ 前述した `:Reverse` コマンドの定義を少し変えて、次のようにする: [source,vim] ---- function! s:reverse_lines(from, to) abort execute printf("%d,%dg/^/m%d", a:from, a:to, a:from - 1) endfunction command! -bar -range=% \ Reverse \ call reverse_lines(, ) ---- 実行しているコマンドが変わったわけではないが、関数呼び出しを経由するようにした。これだけで前述の問題が解決する。 この理由は、ユーザー定義関数を実行する際は検索パターンが一度保存され、実行が終了したあと復元されるため。結果として検索パターンが `^` で上書きされることがなくなる。 Vim のヘルプから該当箇所を引用する (強調は筆者による)。 ____ :h autocmd-searchpat *Autocommands do not change the current search patterns.* Vim saves the current search patterns before executing autocommands then restores them after the autocommands finish. This means that autocommands do not affect the strings highlighted with the `hlsearch' option. ____ これは autocommand の実行に関しての記述だが、これと同じことがユーザー定義関数の実行時にも適用される。このことは `:nohlsearch` のヘルプにある。同じく該当箇所を引用する (強調は筆者による)。 ____ :h :nohlsearch (略) This command doesn’t work in an autocommand, because the highlighting state is saved and restored when executing autocommands |autocmd-searchpat|. *Same thing for when invoking a user function.* ____ この仕様により、`:g/^/m0` の呼び出しをユーザー定義関数に切り出すことで上述の問題を解決できる。 == 解決策 (改訂版) ____ [2020/9/28追記] より簡潔な方法を見つけたため追記する ____ [source,vim] ---- command! -bar -range=% \ Reverse \ keeppatterns ,g/^/m-1 ---- まさにこのための Exコマンド、`:keeppatterns` が存在する。`:keeppatterns {command}` のように使い、読んで字の如く、後ろに続く Exコマンドを「現在の検索パターンを保ったまま」実行する。はるかに分かりやすく意図を表現できる。 ____ :h :keeppatterns ____ == コピペ用再掲 [source,vim] ---- " License: Public Domain command! -bar -range=% \ Reverse \ keeppatterns ,g/^/m-1 ----