--- [article] uuid = "da2a0cec-74b3-4c5e-b2a2-47fe79ef49f9" title = "【YAML】YAML 1.1 と YAML 1.2 の主な破壊的変更" description = "データ記述言語 YAML におけるバージョン 1.1 と 1.2 の主な破壊的変更をまとめた。" tags = [ "yaml", ] [[article.revisions]] date = "2021-06-30" remark = "デジタルサーカス株式会社の社内記事として公開" isInternal = true [[article.revisions]] date = "2025-01-26" remark = "ブログ記事として一般公開" --- ::: note この記事は、2021-06-30 に [デジタルサーカス株式会社](https://www.dgcircus.com/) の社内 Qiita Team に公開された記事をベースに、加筆修正して一般公開したものです。 ::: {#intro} # はじめに データ記述言語の一つ YAML には 1.0、1.1、1.2 のバージョンがある。 これらのうち、1.1 と 1.2 の間には無視できない非互換の変更が多く、1.2 に対応していないライブラリもある (Ruby 同梱の `yaml` など)。 この記事では、YAML 1.1 と YAML 1.2 の主な破壊的変更を紹介する (影響範囲が広いものを抜粋しており、すべての非互換を網羅してはいない)。 参照した仕様書はこちら: https://yaml.org/spec/1.2.2/ext/changes/ {#breaking-changes} # 主な破壊的変更 {#boolean-literals} ### Boolean としてパースされるトークンが `true` / `false` とその亜種のみに この変更の影響が最も大きいと思われる。 YAML 1.1 では、boolean 値のリテラルとして `true`、`false` のほか `yes`、`no`、`y`、`n`、`on`、`off`、それらの大文字バージョンなどが認められていた。 YAML 1.2 では、`true` と `false`、それらの大文字バージョン (`True`、`TRUE`、`False`、`FALSE`) のみが boolean としてパースされるようになった。 {#octal-literals} ### 八進数リテラルには `0o` が必須に C 言語などでは、`0` から始まる数字の列を八進数としてパースする。 YAML 1.1 もこれに準じていたが、1.2 からは `0o` のプレフィクスが必須となった ("o" は "octal" の "o")。 プログラミング言語では、Python や Haskell、Swift、Rust などがこの記法を採用している。 {#merging} ### `<<` によるマージが不可能に YAML 1.1 では、`<<` という文字列をキーに指定することで、マップをマージすることができた。 ```yaml x: &base a: 123 # => { "x": { "a": 123 } } y: <<: *base b: 456 # => { "y": { "a": 123, "b": 456 } } ``` 1.2 からはこれができなくなる。 {#number-separator} ### 数字を `_` で区切るのが禁止に `1234567` を `1_234_567` と書けなくなった。 {#outro} # おわりに 全体的に、_There's more than one way to do it._ から _There should be one - and preferably only one - obvious way to do it._ へ移行しているように思われる。 データ記述言語としては望ましい方向性ではないかと感じる。