--- [article] title = "【Neovim】 空の PHP ファイルに namespace 宣言を挿入する" description = "Neovim で空の PHP ファイルを開いたとき、ディレクトリの構造に基づいて自動的に namespace 宣言を挿入するようにする。" tags = [ "neovim", "php", ] [[article.revisions]] date = "2024-01-10" remark = "公開" ---
この記事は Vim 駅伝 #136 の記事です。
やりたいこと

Neovim で空の PHP ファイルを開いたとき、そのファイルが置かれているディレクトリの構造に基づいて、自動的に namespace 宣言を挿入したい。具体的には、トップレベルの名前空間が MyNamespace であり、ファイル src/Foo/Bar/Baz.php を開いたときに、そのファイルが空であるなら、次のようなテンプレートが自動的に挿入されてほしい。

バージョン情報

今回は Lua で処理を記述したため、Vim では動作しない。以下の説明でも Neovim に絞って述べる。 また、パス区切りがスラッシュである前提で記述したため、Windows には対応していない。

ftplugin を用意する

Neovim には特定のファイルタイプに対して特別な処理をおこなうための ftplugin と呼ばれる仕組みがある。 Neovim の設定を置くディレクトリ (例えば ~/.config/nvim) の配下に ftplugin/<FILE_TYPE>.vim または ftplugin/<FILE_TYPE>.lua というファイルを配置すると、その <FILE_TYPE> が読み込まれたときにそのファイルが自動的に実行される。

今回は、Neovim がデフォルトで用意している PHP 用 ftplugin が動作したあとに追加の処理をおこないたいので、after/ftplugin/php.{vim,lua} というファイルを配置する。名前から察せられるとおり、after/ftplugin 以下のファイルは ftplugin 以下のファイルよりもあとに実行される。

この記事では Lua で処理を記述するため、拡張子には .lua を用いる。 これ以降載せるコードは、すべて after/ftplugin/php.lua の中に記述している。

二重読み込みを防ぐ

ファイルタイプは読み込んだあとに変更されることもあるので、ftplugin は複数回実行されうる。 二重読み込みを防ぐために、did_ftplugin_<FILE_TYPE>_after というバッファローカル変数を定義しておくのが慣習となっている。

実装する

では実装していこう。今回私は次のようなロジックとした。以降、「今 Neovim で開いた PHP ファイル」のことを「対象ファイル」と呼ぶことにする。

  1. 対象ファイルが空でなければ何もしない
  2. 対象ファイルが置かれたディレクトリを上に辿って、composer.json を見つける
  3. composer.jsonautoload.psr-4 を見て、トップレベルの名前空間とディレクトリを特定する
  4. 対象ファイルが置かれたディレクトリが、トップレベルのディレクトリを基準としてどのようにネストしているか調べる
  5. オートロードの設定と照らし合わせて、対象ファイルが属すべき名前空間を特定する
  6. PHP の開始タグとともに namespace 宣言を挿入する

実装を簡単にするため、Composer を用いない場合や PSR 4 以外のオートロード規則を使う場合には対応しない。少々長くなるが、以下にスクリプト全文を載せる。

おわりに

簡易的な実装だが、多くのケースではうまく動いているようだ。 最大の問題は PSR 4 に準拠しないフレームワークを用いているとまったく役に立たないことで、今まさに職場で困っている。 こちらはいずれ改良したい。